最近、血糖値をリアルタイムで把握できる持続血糖測定器(いわゆるリブレ)が糖尿病管理だけでなく「健康管理」「腸活」「食事指導」にまで使われることが増えてきました。
血糖値が可視化されることで「数値が安定しているから大丈夫」と思える安心感が生まれます。もしくは自分自身の血糖値を上下させてしまう食習慣や生活習慣がみえてくる発見もあります。
しかし、現場で実際に人の体に触れている立場から見ると、リブレを使っていることでかえって体調悪化を見逃してしまう場合があると感じています。
リブレは「血糖値そのもの」を測っていません。
大前提として、リブレが測定しているのは 血管内の血糖値ではありません。
測定対象は皮下の間質液中の糖濃度です。
この2つは連動して動くことはあります。
ただ、見ている場所が違うため同じ数字になるとは限りません。
特に次のような条件では、体内で起きている変化がリブレの数値に反映されにくくなります。
・空腹時の糖質摂取
・フルーツジュース、スムージーなど糖質の液体
・フルクトース(果糖)を多く含む食品
・吸収が速くピークが短い血糖変動
この場合、門脈(腸から肝臓へ行く静脈)レベルでは急激な代謝負荷がかかっていても末梢、間質液では数値が穏やかに見えることがあります。
なので、血糖が上がらない=体に負担がない、ではないんです。
その誤解のせいで、果物や果汁を含む食品を摂取して「リブレで血糖値が上がらなかったから安心」という判断をしてしまう人がいるんです。
生理学的には、血糖値が大きく変動しなくてもインスリン分泌は起こり肝臓や腸管には確実に処理負荷がかかるというケースは多くあります。
特にフルクトースは、血糖値に直接反映されにくい一方で肝臓や腸への代謝負荷として処理される糖です。
つまり、血糖値が安定していることと、体が安全に処理できていることは同じではありません。
現場で実際に起きていることとして、実際にはリブレの数値上は「血糖安定」と評価されている食事指導を受けた後に
・お腹のガスが増える
・腹部膨満感が強くなる
・ニキビや吹き出物が出始める
・以前よりダルさや疲労感がある
こうした変化を感じる方を何人も見てきました。
リブレの数値では「問題なし」でも、体は正直に症状を出しています。
なぜクライアントさんの「体感(症状)」を優先すべきなのか?
体感とは、単なるクライアントさんの主観ではありません。
・腹部膨満感
・ガスの溜まりやすさ
・食後の違和感
・肌荒れ
・倦怠感や眠気
これらはすべて
・腸管の内圧
・腸内細菌のバランス
・自律神経のバランス
・内臓血流配分
・代謝処理能力
といった 複数の生理反応の統合結果です。
一方、リブレの血糖値は代謝反応のごく一側面しか反映していません。
リブレの数値で評価できる指標が正常であっても、症状が出ている時点で生理学的には「適応が破綻している」と考えるのが自然です。
この視点は、標準医療の臨床感覚とも一致するのではないかと思います。
「リブレを否定しているのか?」という反論があるかもしれませんが、リブレは糖尿病管理で有用な医療機器です。
機器そのものを否定しているわけではありません。
問題は、リブレで評価できない領域まで「安全」「問題なし」と判断してしまう使い方にあります。
これは測定機器が悪いのではなく、解釈の問題です。
「数値があるから安心」という思考停止をもたらしてしまうんです。
リブレが与える最大のリスクは「数値が大丈夫だから、この不調は気のせいだろう」と判断してしまうこと。
・お腹が張っている
・肌が荒れている
・体調が悪い
それでも「血糖は安定しているから問題ない」と片づけてしまう。
これは健康管理ではなく、体の声を無視する行為です。
腸を扱うなら、見るべきは数値より症状
腸の状態を評価する際に重要なのは
・食後の反応(食後の眠気など)
・お腹のガスの張り
・便の質
・皮膚の変化(ニキビなど)
・体調の推移(疲れやすいなど)
これらの 結果として現れる反応です。
数値は参考であり、症状の原因を考えるためのメインにするべきではありません。
・リブレは便利なツールだが万能ではない
・血糖値が穏やかでも、代謝や腸に負荷がかかることはある
・数値が正常でも、症状が出ているなら評価を見直すべき
・症状は、生理学的反応の統合結果である
体は、数値よりも正直です。
僕たちは測れるものよりも、実際に体に起きている症状を大切にしています。
数値が安心を与える時代だからこそ、体のサインを見逃さない視点がより重要だと考えています。
ちなみに、このようなネットニュースがありました。
「血糖モニターの未公開バグで糖尿病患者7人が死亡、「命に関わる医療機器はオープンにするべき」という意見も」
https://gigazine.net/news/20251226-undisclosed-bug-diabetes-patients/
数値を過信し、それを判断根拠として行動した結果、重大な事故につながった事例といえます。
腸もみや腸活、健康管理の分野ではリブレを「安全判定の根拠」として用いることには慎重であるべきではないでしょうか。





