【頭痛と首痛】原因が顔にあることがある理由とは? 三叉神経頸髄複合体の話

【頭痛と首痛】原因が顔にあることがある理由とは? 三叉神経頸髄複合体の話

頭痛や首痛で来られる方の原因を見ていくと、

「えっ、そこ?」

という場所が大本になっていることが、よくあるんですね。

たとえば、ひどい首痛で来た方の原因が、目元の筋肉だったり。

こめかみがズキズキすると言ってきた方の原因が、奥歯を噛みしめる筋肉だったり。

「肩が凝るから頭が痛い」

「首がガチガチだから頭痛になる」

そう思って来られる方が多いんですけど、 開業13年、何千例と頭痛・首痛を見てきて分かったのは

首じゃないところに原因があるケース、本当に多いんです。

今日は、その仕組みを「三叉神経頸髄複合体(TCC)」という観点から書いてみます。

三叉神経頸髄複合体(TCC)って何?

ちょっと専門的な名前ですが、意味は意外とシンプルです。

三叉神経 顔の感覚(おでこ、目元、頬、顎まで)を脳に届ける神経。

上位頸髄(C1〜C3) 首の上の方の感覚を脳に届ける神経。

普通なら別々のルートで脳に行きそうなんですが、

実は脳に入る手前、脳幹から首の上の方にかけて

三叉神経と上位頸髄が、同じニューロン(神経細胞)を共有している場所があるんですね。

ここを三叉神経頸髄複合体(trigeminocervical complex/TCC)といいます。

何が起こるかというと

顔から入ってきた痛みの信号が首の神経経路に流れる。

首から入ってきた痛みの信号が顔の神経経路に流れる。

要は「ごちゃ混ぜになる」場所なんです。

だから

  • 顔の筋肉に問題がある人が首痛として感じる
  • 首の問題がある人が頭痛として感じる

これが神経学的に普通に起こります。

つまり、頭痛・首痛は、「痛みを感じている場所」と「原因がある場所」がズレることがある。

これがTCCを理解するうえでの最大のポイントです。

トリガーポイントの話をここで挟ませてください

頭痛・首痛の原因として、TCCと並んで大事なのが「トリガーポイント」です。

トリガーポイントというのは、筋肉の中で筋繊維が絡まって固まってしまった部分のこと。

よく「押すと響く点」みたいに説明されますが、本質はちょっと違います。

押してもらわなくても、そこに絡まりがあるだけで勝手に離れた場所に痛みを発信しているんです。

肩の絡まりから頭頂部へ。 背中の絡まりから胸の前へ。 腰の絡まりから太ももの裏へ。

それぞれ、決まったパターンで痛みが波及します。

そして大事なのが、この筋繊維の絡まりがほどけると波及していた痛みも消えるということ。

だから施術では、痛い場所を揉むのではなく 痛みを飛ばしている本体(トリガーポイント)を見つけて絡まりを解く。

ここが本筋になります。

眼輪筋(目元の筋肉)が首痛と頭痛を起こす

眼輪筋というのは目の周りをぐるりと囲んでいる筋肉。

まぶたを閉じたり、細めたり、まばたきしたりするときに使う筋肉です。

現代人は

  • PCで一日中画面を見る
  • スマホを夜まで見続ける
  • ストレスで眉間にも力が入る

こういう生活で、眼輪筋に慢性的に負荷がかかり続けているんですね。

すると、眼輪筋の中に筋繊維の絡まり(トリガーポイント)ができてきます。

ここで三叉神経が登場します。

眼輪筋とその周辺の感覚は三叉神経の領域。

そして三叉神経はTCCで上位頸髄と合流するので

眼輪筋のトリガーポイントから

  • 頭の側面や後頭部
  • 首の上の方

に痛みが波及していく、ということが起こります。

実際、「首痛で来たけど、原因をたどっていったら眼輪筋だった」

というクライアントさんが何人もいます。

首をいくら揉んでも、当然、改善しないんですね。 本体は目元にあるから。

絡まりを解いたら首痛がスッと引いていく、 というのが現場での出来事です。

咬筋(噛みしめる筋肉)も頭痛と首痛を起こす

咬筋は、頬骨の下から下顎の角にかけて広がっている噛みしめるための筋肉

食いしばり、歯ぎしり、ストレスで日中に歯を噛んでしまう癖…こういうのが続くと、

咬筋の中にトリガーポイントが作られていきます。

咬筋も、三叉神経の支配領域です。

TCC経由で痛みを波及させる典型的な筋肉の一つ。

代表的な波及パターンが

  • こめかみの痛み
  • 耳の奥のような頭痛
  • 首の付け根の張り

ちなみに「こめかみがズキズキ痛むんです」

と来た方の本当の原因が、咬筋だったケースがあります。

その方は、自分では「食いしばってる感覚なんてないですよ」とおっしゃっていましたが、 触ると咬筋がガチガチに硬い。

寝ている間に無意識で噛みしめていたんですね。

咬筋を緩めたら、こめかみの痛みもスッと消えていきました。

「首だけ揉んでも改善しない頭痛」がある理由

ここまでの話を整理すると

頭痛・首痛の原因が、首じゃなくて目元や顎にあるケース。

これ、整体・マッサージで首だけ触っても改善しないんです。

理由は単純で痛みを飛ばしている本体が、首にないから。

肩や首をいくらほぐしても、TCC経由で痛みを発信し続けている眼輪筋や咬筋がそのままなら痛みは戻ってきます。

「マッサージしたその日は楽だったけど、翌日また痛い」 「肩こりと頭痛が何年も同じ痛さで続いている」

こういう方は、痛みの本体が首じゃない可能性を一度疑ってみてください。

実は、眼輪筋のトリガーポイントの根っこは腸にある

ここまで読んで、こう思いませんでしたか?

「じゃあ、画面を見ない、ストレスを減らす、食いしばりに気をつける。 それでトリガーポイントは消えるんじゃないか?」

それも一つの正解です。

でも、僕の現場感覚で言うと、眼輪筋や咬筋にトリガーポイントが作られる流れには、もっと根っこの原因があります。

そして、その根っこを辿っていくとある場所にたどり着くんです。

それは、腸です。

「え?頭痛と首痛の話なのに、腸?」

と思いますよね。ちゃんと繋がるので、順番に書きます。

1. 胃や大腸にガスが溜まる

食後すぐに寝たり、食事の回数が多すぎたり、間食が多かったり、消化の悪いものが続いたり。

胃や大腸の動きが弱くなって中でガスが発酵したり痙攣したりすることで起こります。

2. 横隔膜が下がれなくなる

ガスで膨らんだ胃や大腸が、横隔膜を頭の方向に押し上げる。

本来、息を吸うと横隔膜は下に動きますが、下から胃と大腸によって押されているので下がりにくくなります。

3. 呼吸が浅くなる → 交感神経が戦闘モードに

横隔膜が動けないと、自然と呼吸が浅くなります。

すると体は「酸素が足りない=緊急事態」と判断して心拍数を上昇させて 自動的に交感神経が高ぶり、戦闘モードに入るんですね。

4. 戦闘モード → 無意識の食いしばり

戦闘モードに入った体は、無意識のうちに歯を食いしばります。

これが咬筋のトリガーポイントができる正体

さっきの症例で「自分では食いしばってる感覚なんてない」と言っていた方も、ここで説明がつきます。

反射で起きているので、本人は気づきようがないんです。

5. 横隔膜の反射で、胸鎖乳突筋(SCM)が緊張する

横隔膜が動けないと、それを補うかのように、 胸鎖乳突筋(耳の後ろから鎖骨へ斜めに走る筋肉)が反射的に緊張してきます。

6. 胸鎖乳突筋が、交感神経幹を圧迫する

胸鎖乳突筋の内側には、交感神経幹(交感神経の幹線ケーブル)が縦に走っています。

胸鎖乳突筋がガチガチに緊張すると、ここが物理的に圧迫されてしまう。

7. ホルネル徴候 → まぶたが下がる

交感神経幹が圧迫されると、その先のまぶたを引き上げる小さな筋肉の働きが落ちます。

結果、まぶたがほんの少し下がってくる

これは医学的にホルネル徴候と呼ばれる現象の軽いバージョンです。

8. 目を見開こうと頑張る → 眼輪筋にトリガー

まぶたが下がってくると、視界が狭くなる。 だから無意識のうちに「目を見開こう」「目をこらそう」と頑張ることになります。

その結果、特に眉の下あたりの眼輪筋に慢性的な負荷がかかって、 ここにトリガーポイントができるわけです。

9. TCCを介して、頭痛・首痛として出てくる

眼輪筋・咬筋にできたトリガーポイントが、TCCを介して頭と首に痛みを波及させる。

ここで、最初の話に戻ります。

整理すると

腸 → 横隔膜 → 自律神経 → 食いしばり / ホルネル徴候 → 眼輪筋・咬筋のトリガー → TCC → 頭痛・首痛

これが、僕が現場で見ている本当の連鎖です。

そして、ここまで読んで気づいた方もいると思います。

咬筋を緩めても、眼輪筋を解いても、 上流の腸がそのままなら、しばらくして同じ流れがまた始まるんですね。

だから、頭痛・首痛で来られた方の腹部を、僕は必ず触ります。 顔だけ、首だけ頭だけを施術をしてもダメなんです…

なぜ、自分ではほぐせないのか

ここまで読んで、

「じゃあ、自分で目元や顎を揉めばいいのか」

と思った方もいるかもしれません。

正直に言うと、自分でやるのは難しいんです。

理由は3つあります。

1つ目。顔の筋肉は繊細すぎる。

眼輪筋も咬筋も、すぐ下に神経や血管が走っています。

力加減を間違えると、解くつもりがかえって緊張を増やしてしまうことがあるんですね。

2つ目。痛みの場所と、原因の場所がズレている。

これが今日の記事の本題でしたよね。

つまり「ここが痛いから揉む」だと、 そもそも違う場所を触っている可能性が高いんです。

痛みの本体を見立てる目がないと本当の絡まりにはたどり着けません。

3つ目。解く順番がある。

複数の筋肉に絡まりがあるとき、 どこから解くかで結果が変わります

咬筋だけ解くべき人もいれば、眼輪筋だけを解くべき人もいる。

そしてもちろん大元をたどると胃や腸を施術する必要があったり頚椎のズレを矯正すべき人もいます。

つまり、症状の原因を解くという仕事は

痛みの本体を見立てる目 × 繊細に触れる手 × 順番を判断する臨床感覚

この3つが揃って初めて安全に効果が出るんですね。

当サロンでは

頭痛・首痛で来られた方には、まず連鎖全体を見立てます

腹部のガスの溜まり方、横隔膜の動き、胸鎖乳突筋の緊張、まぶたの落ち具合、眼輪筋と咬筋のトリガーポイント

これらを上から下まで読んで、どこから始まっている連鎖なのかを判断します。

そのうえで

  • 上流の腸を整える
  • 反射で緊張している胸鎖乳突筋を緩める
  • トリガーポイントになっている眼輪筋・咬筋を解く

という順番で触っていきます。

「整体やマッサージで治らなかった頭痛が、腹部と顔に触れた1回で楽になる

こういうことが起きるのはこの連鎖を上流から処理しているからなんですね。

「もう何年も付き合っている頭痛だから」

「肩こりは持病だから」

そう諦めてきた方こそ、一度、痛みの連鎖全体を見立て直す価値があると思っています。

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